夜の扉

夜が手招きしている
すっかりと夢が覚めてしまった頃

僕はドアを叩く
ここから堕ちて行く前に

月がいくら綺麗でも
今は立ち止まる気にはなれないよ

僕はドアを叩く
ここで満たされて行く前に

僕はドアを叩き壊す
いつか染まって行く前に


その瞬間に

どしゃ降りの雨は何時しか俺の心を加速させるだろう
抑えても抑えても抑えきれず
アスファルトの上で砕け散る水滴の如く
一瞬の閃きとして跳ね上がるだろう

吹き荒れる風は何時しか俺の脚に追いつくだろう
逃げても逃げても逃げきれず
立ち塞がる全てを嘲笑うかの如く
一瞬の危険な匂いをここまで運んでくるだろう

終わりなし

終るところが見えなくなる
走り出したこの卑しい気持ちは
途方もなく僕を追い詰めてしまう

いつまでも

どこまで行っても多分同じで
止まりそうもないこの卑しい気持ちは
跡形もなく全てを飲み込んでしまう

とことんまで

近くても遠い話

夢の砂漠で何を見た
夢の砂漠で何をしてた
話を聞かせておくれよ
必ずここで

夢の砂漠で何を聞いた
夢の砂漠で何を食った
話を聞かせておくれよ
必ずここで

嬉しい話、悲しい話、不思議な話を
必ずここで

夢から覚めて
必ずここで
僕はいつでも待っている

待ちぼうけだけは勘弁してくれ
必ずここで聞かせておくれよ

近くても遠い話を
近くても遠い話だけを

何時も、何時も

ここにいたくない
もう少し夢を見ていたい

ここにいなくちゃ
上手くやれっこないから

だからいつも僕は立ち止まってしまう
だからいつも僕は

もっと素敵な所を
もっと楽しい所を
この眼は眺めているだけだ

もっといやらしいものを
もっと汚れたものを
この眼は避けてしまう

だから僕は嫌になる
だから僕はうんざりしてしまう

何時も、何時も

棄てたもんだ

どん詰まりの夜にたどり着いたこんな所で立ち尽くし
わずかな逃げ道を選りすぐる

棄てたもんだな世の中
棄てたもんだな今夜の俺は
ただ泣き言に酔うばかり

行くあてなしの心にもたれながらもやり過ごし
わずかな願いも見落とした

棄てたもんだな世の中
棄てたもんだな今夜の俺は
まだ綺麗ごとにすがりつく

今日だけは

うまく書かなければ
うまく伝えなければ
でもできない今日だけは

今日だけは詩人失格だ

なんでもかんでも
いつでもどこでも
まだできない今日だけは

今日だけは嘘の僕だ

ほしいもの
いらないもの
散漫にただ置き去りにして

今日だけは駄目になる

全て溶ける

六時間前も
一時間前も
五分前も

全て溶ける
この一瞬に

一年前も
半年前も
昨日も

全て溶ける
この一瞬に

だけど明日は分からない
だけど明日は


爆発する前に

通り過ぎた思い出の夜はまだこんな所で眠っている
意識もなく起き上がる術も知らないでいる

僕は手を伸ばす

もうすぐだ
爆発する前に

いつの間にかたどり着いたもうこんな所まで
置き忘れたものがたくさん有り過ぎて

僕はここで振り返る

もうすぐだ
爆発する前に

生きてこそ

生きてこそ笑え
生きてこそ怒れ
だから生きてこそ
終わりがあるのはお見通し
だから生きてこそ
まだ生きてこそ

生きてこそ泣け
生きてこそ楽しめ
だから生きてこそ
始まりがあってここにいる
だから生きてこそ
まだ生きてこそ

いま生きてこそ

涙の訳など

世界は素晴らしい
素晴らしいものが多すぎて
僕は涙で溢れてしまう

腐らない腐らない
汚れたところで躓いたところで
僕は涙で終れない

全てを知りたい涙が枯れてしまうまでに

全てを吐き尽くしたい涙が止まらなくなるまでに

ただ涙の訳など知らないよ

多分、僕は

行き着くまで

何処へ持って行く
この苛立ちを
仕掛けたのはあんただよ
俺はもうどこにも退けない

何が必要なんだ
今これ以上
火をつけたのはあんただよ
俺はもう熱くてたまらない

このまま何処へ
このまま何を

行き着くまで俺は終らない

もしも

もしも、走り疲れたら
歩いていくだけ
それだけのことだから
心配なんて何もない
いつでも空は晴れている

もしも、歩き疲れたら
立ち止まるだけ
たいしたことじゃない
それでうまく行くものだ
いつでも空はそこにある

静かな夜

静けさが底なしのようだ
特に今夜は
考えることも
動くことも
とにかく何もいらない
ぼんやりと空気が触れる
穏やかにただ触れる

静けさに全てを任せる
特に今夜は
脅えることも
威嚇することも
そんなことはどうでもいい
いつの間にか風が染み入る
穏やかにただ染み入る

拒むことも
受け入れることも
全ては自由だ
穏やかな時間の中では

人間

タフな振りしてみたところで
脆く崩れさる日もあった
たかが人間
されど人間

汚れた振りしてみたところで
怪我をすれば血を流す
たかが人間
されど人間

永遠などないことを判っていながらも
それでも永遠を信じている
たかが人間
されど人間

だから人間

もうこれ以上

胸に詰まった想いを
抑え込むことなんてできやしない

もうこれ以上、もうこれ以上
抑えきれない

走り出した想いを
捨てることなんてできやしない

もうこれ以上、もうこれ以上
誤魔化しきれない

こんな想いも、あんな想いも、もうこれ以上


足跡

足跡はどこまで続く
汚れた世界の真ん中で
きれいな足跡ひとつ
どこまでも踏みつぶされはしない

足跡は何時ついた
知らぬ間にただそこに
消えはしない足跡ひとつ
まだそこにいつもそこに

ありふれた季節の外で

ありふれた季節の外で
僕らは笑い続けていた
束の間の夢ひとつ置き忘れても
全てはこの眼に映っていたんだ

季節の外でいつまでも繰り返していく筈だった夜

ありふれた季節の外で
僕らは何かを見つけていた
走り過ぎた想いひとつ止まらないまま
全てはこの手の中に握りしめていたんだ

季節が変わり果てても何も変わらない筈だった夜


未明

この言葉が途切れてしまう頃
あなたは何を想うのだろうか

この言葉が枯れ果ててしまう頃
僕は何処にいるのだろうか

僕は確かにいる
あなたは確かにいる

心配するな言葉は終らない


プロフィール

tukeji

Author:tukeji

昭和中期の冬に大阪で生まれる
バンド、詩、その他もろもろの真っ最中

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